旧チャーチとは
旧チャーチとは、靴ブランドであるチャーチ(Church’s)のビンテージシューズの一部を指す言葉です。
チャーチは現在、プラダの子会社となっていますが、その前の時代、創業家チャーチ一族にて経営されていた1999年以前の製品が「旧チャーチ」と呼ばれています。
また別の呼び方として、「オールドチャーチ」「Pre-PRADA(プレプラダ)」といったものもあります。
旧チャーチの判別法
チャーチの年代測定は、インソックに記載された都市名の数で判断されます。
記載される都市名は年代によって下記の通りです。
年代 | インソック表記 | 呼称 |
1960年代以前 | 都市名記載なし | 都市なしチャーチ、旧旧旧チャーチ |
1960年後半~1970年代 | LONDON,NEW YORK | 2都市チャーチ、旧旧チャーチ |
1980年代~1999年 | LONDON,NEW YORK,PARIS | 3都市チャーチ、旧チャーチ |
1999年~2013年 | LONDON,PARIS,MIRAN,NEW YORK | 4都市チャーチ、現行チャーチ |
2013年~ | LONDON,PARIS,MIRAN,NEW YORK,TOKYO | 5都市チャーチ、現行チャーチ |
狭義の旧チャーチは、1980年代~プラダ買収前の3都市チャーチをいいます。
2都市や都市なしは古着屋やネットオークションにもあまり出てきませんし、見つかったとしてかなり状態の悪いものや、経年劣化によって着用に堪えないものが多くなってきます。
3都市であれば程度の良いものも(少なくなったものの)多少あり、探してみる価値はあるでしょう。
値段は古着屋などでしたら4~5万円程度が相場になり、状態の良いものや珍しいものは7~8万円くらいの値がつけられていることもあります。
都市なしチャーチ(旧旧旧チャーチ)
![](https://img07.shop-pro.jp/PA01364/883/product/162432021_o7.jpg?cmsp_timestamp=20210807210501)
1960年代以前のものはチャーチのロゴのみで都市名の記載がありません。
都市なし、とか旧旧旧チャーチ、といった呼ばれ方をします。
正直言って売られているのを見たことがないです。
売られていたとしても相応のお値段でしょうし、買ったとしても怖くて履けないと思います。
2都市チャーチ(旧旧チャーチ)
![](https://img07.shop-pro.jp/PA01364/883/product/126057870_o7.jpg?cmsp_timestamp=20171203141229)
LONDONとNEW YORKのみ記載されているものは2都市、とか旧旧チャーチ、といった呼ばれ方をします。1960年後半~1970年代と推定されています。
決して見つからないわけではないですが、かなりレアです。
3都市チャーチ(旧チャーチ)
![](https://menspoplar.com/wp-content/uploads/2023/07/20230715_145305-1024x768.jpg)
こちらは数足所有しているので、手持ちの画像をば。
80年代~プラダ買収の1999年までが3都市になります。
「旧チャーチ」といえば、この3都市チャーチをいうことが多いです。
下記のブログでは、「初期旧チャーチ」と「後期旧チャーチ」を分けているようですが、確かに同じ3都市でもロゴの変更はあったようです。
![](https://menspoplar.com/wp-content/uploads/cocoon-resources/blog-card-cache/82a01208beb1df183daad67b2456749b.jpg)
![](https://menspoplar.com/wp-content/uploads/2023/07/20230715_145319-1024x768.jpg)
汚いインソックで恐縮です。
こちら、手持ちの旧チャーチ(バーウッド)ですが、やや”Church’s”ロゴが斜めになっているのがお判りでしょうか?都市なしや2都市チャーチも同様に斜体になっているので、こちらの方が古いロゴなのではないかと推測しています。
【参考】現行チャーチ(プラダ買収後)
4都市チャーチ(現行チャーチ)
![](https://img07.shop-pro.jp/PA01364/883/product/122366023_o7.jpg?cmsp_timestamp=20170912160152)
プラダ買収後にインソックの年にMIRANが追加されます。
ここでラストや一部タンナーなどが変更されました。
移行期には4都市かつ73ラストのモデルもあるようなので、約1年くらいは旧チャーチかつ4都市のモデルが存在したということも書き添えておきます。
5都市チャーチ(現行チャーチ)
![](https://menspoplar.com/wp-content/uploads/2023/07/20230718_181324-1024x768.jpg)
表参道の直営店オープン後(2013年)~現在に至るまで、TOKYOが追加されます。
2023年に表参道の店舗は閉店してしまいましたが、消さなくていいんでしょうか・・・?
有楽町の阪急メンズ館にもお店はあるので、セーフなんでしょうか。
【参考】復刻版について
![](https://img07.shop-pro.jp/PA01364/883/product/126779393_o7.jpg?cmsp_timestamp=20171226125810)
プラダ買収後にへリングなどで復刻版が企画されており、その際のインソックは旧チャーチを模したものになっています。判別法としては都市名の下に”CustomGrade”表記があるかないかで区別が可能です。
ご存じない方にご説明をしておくと、へリングシューズ(HerringShoes)は英国の靴店です。海外発送も対応しており、現在もチャーチを取り扱っています。ただ、関税等を考えると楽天とかで探した方が安いでしょうね・・・
旧チャーチの魅力
![](https://menspoplar.com/wp-content/uploads/2023/07/20230715_145228-1024x768.jpg)
すべて旧チャーチです。
左からウェストバリー#73、チャッツワース#73、チェットウィンド#73、バーウッド#81です。
旧チャーチにしかない革
旧チャーチに限らず、ビンテージシューズに関して昔の革質は良かった、とよく言われます。
もちろん革は生き物ですから、個体差はありますし、無条件に昔のものが良かったということはないと思われます。
それでも畜牛の肥育条件や鞣し工程の効率化など、様々な要因で年々良い革が手に入りにくくなっているのは事実のようです。
旧チャーチの革質に関して一つ言えるのは、タンナーの変更です。
かつて使用されていたブラッケンアニリンカーフ(写真:右から2番目)やブックバインダーカーフ(右から2番目以外)は英国のタンナー、ピボディ社(WE&J Pebody Ltd.)のものといわれていますが、奇しくもプラダ買収と同年の1999年に廃業しています。
これらの革を使ったモデルはもう2度と手に入りませんから、そういった部分が旧チャーチの希少性を高めているといえるでしょう。
旧チャーチにしかないラスト
チャーチを代表するラストに73ラストがあります。
コンサルやディプロマットなど、ドレスシューズ用の木型として長年使用されてきた歴史があり、旧チャーチ=73といっても過言ではないでしょう。
プラダはチャーチの買収後、このラストにメスを入れ100ラスト→173ラスト(現在)と現代的な木型へアップデートを重ねてきましたが、ショートノーズで古き良き英国靴といった趣のある、かつての73ラストを懐かしむチャーチファンは多いです。
また、バークロフトやヒックステッドに用いられた84ラストも同じく古典的なショートノーズのエッグトウで人気のあるラストです。
ちなみに、これらの廃番ラストはまったく使われなくなったわけではなく、たまにショップの別注やシーズン限定で復活することがあります。
それでも、いつでも手に入るものでないことには変わりありません。
旧チャーチを購入するときの注意点
ビンテージでしか手に入らない
旧チャーチが欲しい場合は、古着屋やネットオークション、フリマアプリで求めることになります。
何せ20年以上も前の製品ですから、革にクラックが入っていないか、ウェルトにダメージが入っていないかなど状態の目利きが必要になります。
時には修理を前提に、価格+見積修理費用で考えるのが基本になります。
サイズ感が異なる
現行で展開されていないラストの場合はショップでの試着ができませんから、ネットで購入するときはある程度ギャンブルになってきます。
また、同じラストでもなぜか年代によってサイズ感が変わることがあります。
革質や製造工程など総合的な要因だったり、個体差によるものでしょうが、こればかりはどうしようもありません。
実店舗のある古着屋さんであれば、試着が可能なので、サイズ感を確認してから購入が可能です。
現行のチャーチもいいよ、ということ
チャーチ好きで、旧チャーチ至上主義者というのは存在しません(当サイト調べ)。
旧チャーチの魅力を分かったうえで、現行のチャーチを選ぶのは賢明な判断だと思います。
私は現行チャーチも複数持っていますし、どれも良い革を使っていますよ。
新品が手に入る
新品の革靴の匂いは何にも代え難いものです。
また、一からインソールに足型をつけることができるわけなので、履き心地は中古のそれよりは良いでしょう。
ショップではきちんと足のサイズを測ってくれますから、自分に合うサイズを時間をかけて選べます。
サイズの合わない靴はやがて履かなくなりますから、ここで妥協をしてはいけません。
新しいラストの方が履きやすい
旧チャーチは伝統的な捨て寸の短いラストが多いです。
歩くときは足が前にスライドしますから、ここでトウの固い芯に指が当たるようだと爪や関節を痛めることになりますし、そこまでいかずとも何とも言えない詰まり感というか、違和感を感じます。
そういった意味で、旧チャーチは現行チャーチよりもハーフサイズ上げることを推奨しているブログが多いようです。
新しいチャーチのラスト(173など)は甲が低く、やや捨て寸にも余裕を持たせるなどより履き心地が良くなるようアップデートされています。
個人的には、73よりも173の方が履きやすいと感じています。
まとめ
- 旧チャーチにはロマンがある
- 現行チャーチもいいよ
皆さまがよい旧チャーチと出会えることを祈っています。
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